マイホーム計画での暖房方法選択において、床暖房を検討している方も多いかと思います。
我が家では全館床暖房を採用しており、冬場はこの床暖房のみで過ごしていますが、なぜ床暖房を採用したのか、またどういった注意点があるか実際の体験を基に記事にしました。
我が家が全館床暖房を選んだわけ
もともと私たち夫婦のマイホーム計画は、「冬暖かく夏涼しい家」をコンセプトの一つに据えており、特に冬場の暖かさに関しては、妻が冷え性ということもあり最も重要視する部分でした。
そのため、冬場におけるモデルハウスや完成見学会の際は、家の中の暖かさという点を重視して見て回ったのですが、何とほとんどの家が妻にとっては寒い家として認定されてしまったのです。
ただ、全てが駄目だった・・・ということは当然なく、暖かいと感じられる家があったことも事実。
寒いと感じた家と暖かいと感じた家の違いは何だったのか。
断熱性能は抜きにしたとき、以下の共通項があったのです。
妻が寒いと感じた家:いずれもエアコン暖房の家
妻が暖かい家と感じた家:床暖房や床下エアコン等による全館暖房を取り入れている家
どうやら暖房方法も重視する必要がありそうなことがわかったのです。
全館床暖房のメリットとは
なぜエアコン暖房の家では寒く、全館床暖房の家では暖かいと冷え性の妻は感じたのか。
要因は対流式暖房か、輻射式暖房の違いでした。
電気カーペットやコタツのように、熱源から発せられる熱(遠赤外線)を利用して暖める方法。
床暖房は輻射式暖房に該当します。
温水循環式であれば、床面を温水が巡ることで温水から発せられる熱(遠赤外線)が部屋内へ広がっていき暖めることになります。
部屋内の温度ムラが少ない
輻射式暖房は、熱源から発せれた熱(遠赤外線)が四方八方へ放射されることで、部屋内の温度ムラが生じにくくなります。
また遠赤外線は、建物の躯体そのものを暖める効果もあり、壁や天井など部屋全体が暖かさに包まれます。
これにより、頭から足元まで体全体が暖かさを実感しやすくなるのです。
この効果により、冷え性の妻も暖かさを感じられたのだと思います。
それに対して対流式暖房、特にエアコン暖房の欠点として、部屋内の温度ムラが発生しやすいことにあります。
暖かい空気は上昇し、冷たい空気は沈下するとおり、天井部分(頭部分)と床部分(足元部分)では、温暖差が生じやすくなってしまいます。
最近のエアコンは、風の吹き方をなるべく足元へ届かせるよう工夫されていますので、かなり改善されているのではと思いますが、完全には温度差の解消は難しいのかもしれません。
その結果、妻にとっては暖かい空間とは感じられなかったのです。
部屋間の温度ムラが少ない
そのため、トイレに行っても、入浴前後の着替え時も、寝室でも常に一定の暖かさを享受できるため、あの場所は寒い、ということがなくなります。
冬場発生するヒートショックの要因は、部屋内及び部屋間の温度差によるものであり、そういった問題にも対応することが可能です。
総じて部屋間の温度ムラが発生しやすい暖房方法であり、ヒートショックのリスクは高くなってしまいます。
日向ぼっこをしているような心地よい暖かさ
遠赤外線の効果によって暖めることが可能な床暖房。実際に体感すると、身体にじんわりと伝わる暖かさを感じ取れます。
日光による暖かさも遠赤外線であるため、部屋内で日向ぼっこをしているような感覚でしょうか。
エアコン暖房の場合は、どうしても風を受けることになるため、それが不快な人も多いでしょうし、女性にとっては肌へのダメージも心配されます。
空気汚染がない
床暖房の場合、部屋内の空気は対流しないのでほこりなど舞い上がることはありません。
部屋内を動き回ったら結局ほこりは舞い上がるのですが・・・
ただエアコン暖房のように運転中は常にほこりが舞い上がることになるより、健康的かと思います。
全館床暖房を設置する際の注意点
冷え性の妻でも冬場の暖かさを感じ取れる床暖房。
逆に床暖房のデメリットはどうでしょうか。
高気密高断熱住宅でないと効果が出にくい
当然ながら、住宅そのものの気密性、断熱性が高くないと効果は大幅に落ちてしまいます。
これはどの暖房方法にも言えますが、特に床暖房のような輻射式暖房においては、家全体を暖める効果がメリットであるため、住宅自体の性能も重要です。
設置範囲が狭い(小さい)と効果の実感が得られにくい
輻射式暖房は、遠赤外線が四方八方へ放射されることで全体を暖めることが出来ます。
ただし、施工範囲が狭いと、その効果も得にくく中途半端になってしまいがちです。
そのため、すでにほかの暖房方法を採用しており、特定の場所(トイレや浴室単体など)のみを暖めたい場合には、床暖房以外の方法をおすすめします。
床暖房を入れたけど、暖まらない・・・という話をしている方がいた場合、残念ながら住宅性能および設置範囲に問題があることが多いと思われます。
部屋をすぐに暖めることは苦手
遠赤外線によりジワリジワリと暖かくなっていくため、運転後すぐに部屋が暖まるということはありません。
キンキンに冷えた状態からだと、希望した室内温度に到達するまで数時間はかかるのではないかと思います。
速攻性に関しては、エアコン暖房のほうが効果は高いです。
ただし、高気密高断熱住宅であれば、冬は日中の太陽光採光などにより部屋内を暖めておくことで、温度低下をカバーすることが出来るかと思います。
実際に私たちの環境でも、日中は運転せず、日の入り後数時間してから翌朝までの連続運転がメインとなっています。
基本的に部屋にいる時間帯は、もともとの昼間の暖かさ+床暖房の暖かさにより常に快適な環境で過ごしていますので、あまり気になるデメリットではありません。
設置諸費用は高い
エアコンの設置に比べ、床暖房の設置は設備代が高くなります。
我が家の床暖房用ヒートポンプ熱源機 ※三菱電機 エコヌクール
また、フローリング下への設置になるため、基本的に設置タイミングは新築時orリフォーム時に限られることから、希望時にすぐ取付できないこともデメリットと言えます。
床暖房にかかる電気代(ランニングコスト)
我が家の床暖房
・温水式電気床暖房 (三菱電機製ヒートポンプ エコヌクール使用)
・床暖房施工面積 約50㎡
上記で冬場の電気料は、約16,000円程かかっています。
冷暖房を使っていない時期の電気料は、約7,000円程のため、床暖房にかかるコストは9,000円程/月といったところです。
なお、我が家はオール電化住宅であるため、これ以外の光熱費としては水道料くらいでしょうか。
賃貸物件に住んでいたころはガス給湯器でしたが、冬場は寒いのでお風呂でのシャワー等によるお湯の使用量大幅増により、ガス代金だけで相当額に達していたこと、それに加え電気・水道料とかかっていたことを考えると、生活の質は大幅に上がりつつ、コストは下がったといえる状況です。
床暖房にも種類があり、ガス給湯による温水床暖房や電気パネルの発熱による床暖房方式等ありますが、それぞれ導入コスト、ランニングコストと差があります。
導入コスト | ランニングコスト | |
---|---|---|
温水式電気床暖房 | △ | 〇 |
温水式ガス床暖房 | 〇 | △ |
電気式床暖房 | ◎ | × |
総じて、導入費用が安いほどランニングコストは高めになる傾向です。
全館床暖房となると施工面積も多くなるため、温水式の床暖房をおすすめされることが多いと思います。
家の暖房設備は長期間使用することが想定されるため、導入コストとランニングコストをシミュレーションし、どこで分岐点になるか、事前に検討してみたいですね。
個人では難しい面もありますので、ビルダーさんに相談してみてもいいかと思います。
特にランニングコスト面においては、今後の設備改良等で更に効率がよくなる可能性もありますので、床暖房を検討している方は、導入設備についてよく検討するべきでしょう。
まとめ
・全館床暖房にすれば、家全体が輻射熱(遠赤外線)で暖められ、足元から頭までポカポカの快適な環境が手に入る。
・心地よい太陽光を受けているような、ぬくもりのある暖かみを感じられる。
・部屋ごとの温度差を感じることなく、ヒートショック対策など健康面にも良い。
・エアコン暖房では満足できない冷え性の妻でも、充分に満足できる暖かさは魅力大。
・高気密高断熱住宅であることが必須。
・総じて導入コストは高めのためある程度予算取りしておきたい。
・局所的な暖かさのために導入するよりは、家全体を暖める用途で用いるべき。
・ヒートポンプ等高効率な設備もあり、ランニングコストは安くなる傾向。導入時の設備選択はビルダーとよく相談すべき。
・すぐに部屋を暖める能力は乏しいため、冬場日中の暖かさを維持できるような間取りの工夫を検討(太陽光の採光など)。