マイホーム風景

 

お花とひよこ

今回は、ガレージハウスを建築してわかった、日本の住居問題と性能を確保した家造りをするために必要な知識について、私の経験を基にまとめてみました。

 

マイホームは後悔の元!?

マイホームを検討するうえで、様々な動機があるかと思います。
結婚を機に新たな生活環境の構築だったり、子どもが生まれて今の住環境では手狭になった・・・等、人それぞれ思い立つきっかけは様々です。

私の場合、妻が冷え性体質ということもあり、それまで生活していた賃貸住宅では、特に冬場の寒さに我慢できなかったというのが一番のきっかけですが、きっかけは様々だったとしても、共通するのは現状の生活環境をより良くし、幸せな毎日を過ごすことを夢見て動き出すことではないでしょうか。

多くの方が、人生で最も高額な金額を負担することとなるマイホーム。
その結果が思い描いていた生活とかけ離れてしまう・・・なんてことにはなりたくないところですが、現実的にはマイホームでの生活に後悔をしている方も多いようです。

現在マイホームを検討している方も、決して後悔するようなことにはなりたくないと思いますが、私が実際に建て主として体験した経験から、アドバイスできればと思います。

マイホームを建てて後悔することの代表例

そもそも、なぜマイホームが後悔の元になってしまう方がいるのでしょうか。
陥るパターンとしては、以下のパターンが多いようです。

性能不足なマイホーム:夏暑く冬寒い家の出来上がり

昨今の建築住宅は、高気密高断熱住宅が当然であり、なかにはネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)なんて呼ばれる規格商品もあったりするのですが、どのハウスメーカーや工務店も、本当に高気密高断熱の住宅を建築しているのでしょうか?

国の現在の基準となっている「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」=(家&付属設備等の性能をよくして、住宅のエネルギーコストを抑えていこうって法律)によれば、
延床面積300㎡未満(ほぼ注文戸建てのこと)の建築物について、断熱等級4程度の断熱性能を満たすことを求めています。

求めているだけであって、実は基準を満たさなくても建築自体はOKというスタンスです。
(2021年4月から建築主への説明義務化となりましたが、建築主が不要と言えば説明も省略可という抜け穴設定です)。

そもそも「断熱等級4」とはどんな基準?

もともとは1999年に定められた省エネ基準で、当時の標準設備仕様をもとに、地域ごとに断熱性能を設けたもの。要するに、20年以上前のレベルを現在の基準に据え置いています。

20年といえば、家電品の省エネ機能は格段の進歩を遂げ、iモードのガラケーからスマホ・タブレット端末へ移行し、クルマの燃費性能だって格段の向上を見せています。
ところが、令和になった今になっても、住宅に関しての性能は、20年前の基準を満たすよう努力してね、ということを国は言っているわけです。

加えて、日本の断熱基準は世界的にみても低いレベルにあります。
高温多湿な夏場を快適に過ごすため、隙間を設け風通しをよくするのが日本流の家造りだったこともあり、外気の影響を受けないという考えは育たなかったこともありそうですが。

なにゆえ国は基準を厳しくしないのか、その答えはこちらです。
省エネ基準適合率(H27年度 国交省資料より)
断熱基準4適合率(住宅全体):59%

なんと、41%の住宅では20年前に設定した基準を達成できていない現状があるのです。

寒い家

また、エネルギー消費や断熱性能の計算ができないという工務店も半数近く存在することがわかり、今の現状で基準達成を義務化すると、混乱を招くことを恐れているということです。

まじめに高気密高断熱の家造りに取り組んでいるハウスメーカーや工務店がある一方で、残念ながらその意識が希薄な事業者も数多くおり、通常そういった事業者は淘汰されていくのが常ですが、そのような事業者を選択してしまう建築主が大勢いるということです。

20年前の性能の劣る製品を好き好んで購入する人はいないと思いますが、マイホームに関しては何千万円も出して性能の悪いものを購入している人が多いのですね。

マイホームの住宅ローン破産

建築当時は行けると思っていたものの、収入が落ち込みローンを返せなくなる・・・というのは最悪です。
コロナ不況の昨今もローン破産の話題は出ていますが、リーマンショックのときもそうですし、時代は繰り返すものなのでしょうか・・・

事前の計画の工夫である程度予防できる部分ですので、注意しましょう。

ローン破産

 

マイホームの間取りや部屋の広さに不満

住んでみてわかったというパターンの代表例ですが、図面を見ても部屋の広さってイメージがわかないものですよね。
これも事前の準備で対応できるかと思います。

マイホームで後悔しないための方策

まずは事前準備の必要性

マイホームを検討して、早速住宅展示場へ行かれる方もいるかと思います。
しかし、住宅展示場へ行く前に、どこまで予算があり、自分たちがどんな家を求めているのか、一度整理したうえで見学に行きましょう。
特にハウスメーカーの営業マンは、どんどん打合せの予定を入れてくるので、最悪ズルズルとそのまま契約・・・なんてことになりかねません。

予算の把握:ライフプランシミュレーションを行うこと

予算管理は重要です。
ただその予算、どうやって算出しますか?

銀行のHPでは、借入可能額や返済額のシミュレーションが出来ますが、正直あまり意味はありません。
まずは現状の生活費を洗い出し、これから先のライフプラン(子どもの有無、クルマの購入、趣味にかける費用等・・・)も洗いざらい検討していく必要があります。
あわせて、生命保険などの固定費も内容を見直すことをお勧めします。
正直かなり手間がかかりますが、将来の破産リスクを考えれば、家の仕様を決める以上に重視しないといけないポイントでもあります。

私の場合、無料のFP相談を活用しましたが、家を持ってからの生活面について、色々と有益な情報を提供してもらえました。
ハウスメーカーや工務店によっては、お抱えのFPさんを使って相談会などを行っていますが、契約させる方向で話を進めることは目に見えますので、業者とは関わりのないFPさんに依頼するべきです。

参考:日本FP協会HP

ライフプラン

自分たちの希望を洗い出し、順位付けをしておくこと

とにかく最初は自身の欲望のまま、希望を列挙していいと思います。
夢が膨らむ楽しい時間です。

そのうえで、必ず叶える希望、出来れば叶えたい希望、あったらいいな程度の希望など、ランク付けをしておきましょう。
ビルダーとの打ち合わせで必ず聞かれる事柄ですが、前もって整理しておくと、伝えそびれるリスクも少なくなっていいですよ。

なお最初の打ち合わせ時は、ランクは関係なく、全ての希望を叶えたい!と言ってプランニングしてもらってください。
予算オーバーになることが多いですが、それをベースに調整をしていけばいい話ですし、最初から遠慮して希望を伝えないのは後々後悔する元です。

希望列挙

土地選びは家の希望を固めてからでOK

土地選びが必要な方も多いと思いますが、まずはどんな家がいいか、ビルダーに希望を全て伝え、間取り図や家の外観図などベースプランを貰ってください。
それを基にどんな条件の土地が必要になるか、探す根拠にしたほうが効率がいいと思います。

ビルダーを決める前に土地を購入する方もいるようですが、その場合土地に合わせた家造りになり、叶えたい希望を諦めないといけない可能性も出てきます。
また、事前にビルダーにも現場を確認してもらえばなお安心です。
土地選び

信頼できるハウスメーカーや工務店(ビルダー)を見つけること

これが何より重要です。ビルダーさえ間違えなければ、家造りはほぼ成功したようなものです。
自分たちの希望を(予算内で)叶えてくれるビルダー選びは、時間もかかりますし、労力も必要になります。

実際に私たちは、家の性能を第一条件にし、そのうえでガレージの設置や妻の希望を叶えられるビルダーを選ぶまで、1年以上かかりました。
そのなかでわかったことは、高気密高断熱の住宅は、設計も含め、現場での施工管理が何より大事であり、規格化しなくても対応できるものであるということです。

先に話した、20年前の断熱性能基準を達成できない事業者がいるなかで、真面目に家造りに取り組んでいる事業者は、やはり話をしていても違います。
希望を叶えるためにあの手この手を尽くしてくれますし(それだけ引き出しも多いということ)、こちらの質問に対しても的確に回答が来ます。

焦らずに、候補があれば全て確認するくらいの意気込みでビルダー選びは行うべきです。

打合せ風景

まとめ

マイホームを検討するなら・・・

・20年前の断熱基準を達成できない事業者が40%も存在することに注意
・ライフプランシミュレーションを用いた予算把握(FP相談がオススメ。但し業者お抱えのFP以外で。)
・求める希望の洗い出し及び順位付け
・土地選びは希望を伝えてベースプラン(最初の提案)をもらってからでOK
・ビルダー選びが家造り成功の可否を決める