今回はガレージを彩る愛車として、ロードスターにまつわる記事となります。
サーキット走行はせず、日常的な使用をメインにND型を中古車(AT車)、新車(MT車)といずれも保有したからこそわかる、購入検討中の方向けの情報をお伝えします。
そもそもロードスターってどんなクルマ?
「だれもが、しあわせになる。」というキャッチコピーとともに、1989年初代NA型ロードスターが販売され、以降3度のモデルチェンジを経て現在に至るなかで、2004年3月には、2シーターオープンカーとして生産台数世界一のギネス認定を受け、今もなおその記録を更新し続けているところです。
昨今スポーツカービジネスは厳しさを増し、ニューモデルが出ても短命で終わってしまうことが多い中、現行のNDロードスターは、2016年に「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」&「ワールド・カーデザイン・オブ・ザ・イヤー」のダブル受賞を果たすという快挙を達成しています。
初代の登場から途切れることなく販売を続けられたことで培われた伝統とブランドは、日本を代表する名車に育て上げました。
各モデルそれぞれに特徴がありつつも、一貫しているのは以下の点。
・ライトウェイトスポーツカーとして徹底した軽量化への拘り
・前後重量配分50:50
・低重心によるヨー感性モーメントの極小化 など
決して”速い”クルマではないけれど、今マツダが提唱している「Be a driver」の精神を実現するにはうってつけのクルマといえます。
スペシャリティカーでありながら、頑張れば一般庶民でも手が届く価格帯というのも、ロードスターが持つ魅力のひとつ。
マツダの魂とも言えるロードスター。一度は所有して「だれもが、しあわせになる。」というキャッチコピーが本物かどうか、自身で感じてみたいですよね。
トランスミッションはやっぱりMT? ATだって悪くない!
ロードスターに乗るならMT以外ありえない!という考えの方が大半かと思います。
事実ロードスターに関しては、MT販売比率は68%ほど(日本自動車販売協会連合会 2019年販売車対象調査より 出典:https://car-l.co.jp/2021/01/19/47617/)であり、多くの方はMTを求めている状況ですね。
ロードスターのAT車に乗ってわかった特徴とは?
私は、当初中古で購入したATのロードスター(ND型)に乗っていました。
妻がAT限定免許ということもあり、私自身も教習所以降MT車を日常的に運転する機会はなかったためという理由でもありましたが、心の奥底でロードスターなのにATか・・・と思っていたのは事実です。
ところがこのAT。実に使い勝手がよかったんです。
特徴1:ダイレクト感は必要十分な出来
マツダ独自のトランスミッションである、トルコン式ATの「SKYACTIV-DRIVE」は、全段ロックアップを可能としており、低速から高速域まで隙の無い加速及びダイレクト感を味わえます。
残念ながら、NDロードスターにおいては、アイシン精機製の6速ATを独自にチューニングのうえ使用しており、「SKYACTIV-DRIVE」は搭載されておりません。
しかしながら、3速以上でロックアップ機構が設けられ、Dレンジで走行している限り、50km程度出せば6速に入っていますので、街中の走行時でもロックアップの恩恵は感じ取る機会が多かったです。
それでもロックアップしない1・2速の使用時、主には0発進時や交差点の右左折時ですが、アクセルの踏み込みと加速感がマッチしない印象でした。
ただ、そういうときは、マニュアルモード2速固定で、上まで回しながら走って楽しんでいましたし、正直大きなストレスもなく気楽に乗れてよかったんですね。
クラッチ操作やシフト操作に気をやらず、オープンエアを純粋に楽しみながらドライブすることができて、間違いなくロードスターの魅力を感じることができました。
AT車のメリット=エンストしないこと=坂でもどこでも気楽に停めて写真撮影なんかも楽しめますね!
特徴2:抜群の燃費性能
最近の自動車の燃費性能の向上は目を見張るものがありますが、ATのロードスター(ND型)も例にもれず燃費は良いと言えます。
およそ5,300kmの走行で、平均燃費19.1km/L(車載モニターより)。
この時は北海道内を走り回ったこともあり、走行環境が良かったこともありますが、充分な燃費性能ではないでしょうか。
私が保有している間、実燃費は17km程度を下回ることはなかったですし、エンジンも結構回してましたからね。
優秀の一言です。
特徴3:パドルシフト付でステアリング操作に全集中可能
今やF1カーでもパドルシフトでのギア操作を行っています。
市販車でも多くの車種に搭載されておりますが、NDロードスターにおいてもAT車にはパドルシフトが付いています。
このパドルシフトがあれば、両手を常にステアリングに置いておけるため、咄嗟の操作やコーナーへのアプローチなど、運転に全集中することが可能です。
運転操作の余裕は心の余裕に繋がり、不要な交通トラブルから身を守ることにも繋がります。
シフト操作も一般のドライバーが操作するMT車より正確かつ素早く完了できるわけで、これがAT車最大のメリットだと思います。
ロードスターのMT車に乗ってわかった特徴とは?
ATのロードスターで充分楽しんでいた私ですが、2021年3月、MT車へ乗り換えました。
やはりMTのロードスターに乗りたいという欲求には勝てなかったんです・・・
妻には呆れられましたが、果たしてMT車に乗ってわかった特徴とは?
特徴1:MT初心者にも優しい!扱いやすいMT
断言します。MTにしばらく乗っていなくて自信がないという理由で迷っている方、NDロードスターのMTは余裕で扱えます!
販売店での納車から自宅までの帰り道は、心臓バックバクでの運転でしたが、半クラもわかりやすく、以下の補助機構が支援してくれたおかげで問題なく運転できました。
・発進時の自動回転数アップ
傾斜がきつくなければ、クラッチミートのみで発進し、それからアクセルを入れてあげるだけで流れに乗った走行も可能です。
・ヒルスタートアシスト
いわゆる坂道発進時にブレーキ補助をしてくれる機能ですが、ちょっとした傾斜では反応しないこともあり。
ただしその程度の傾斜であればクラッチミートのみでも充分発進に間に合うレベルなので問題なく、坂道でも安心して運転可能です。
特徴2:ショートストロークによる気持ちの良いシフトフィーリング
言葉のみのブログでは伝わらないですが、専用設計の恩恵もあり本当に気持ちよくシフト操作が出来ます。
MT初心者の私ですが、楽しく操作できるので、ロードスターに乗るときは純粋に操作を楽しんで運転できます。
ATとはまた違ったロードスターの楽しい一面を感じ取れる瞬間です。
特徴3:ATを凌ぐダイレクト感&燃費性能
これは当然といえば当然ですが、ATで気になった低速からの加速の局面など、アクセル操作に呼応してしっかり走ってくれるのでストレスフリーです。
そして燃費に関しても、2,670kmほどの走行時において、平均燃費19.5km/Lと優秀な値を叩きだしてくれています。
いずれもND型のロードスターによる比較ではありますが、現行モデルだけあって機能的にも歴代モデル以上の性能をほこっているのでしょう。
どちらのトランスミッションにしても、ロードスターの楽しさを味わうことが出来ますので、家庭環境や周囲の交通事情によって判断されればよいかと思います。
・AT限定免許の方が運転する機会がある
・サーキット走行はせず、日常使用がメインである
・運転操作に余計な神経は使わず、オープンエアを純粋に楽しみたい!という方
・MT車の導入に家族の理解が得られる
・専用設計のMTを楽しみたい
・MT乗りたいけど不安だな・・・という方
ロードスターの中古車でもぜひ最初は純正で! 開発者が込めた想いを感じ取ろう!
「ロードスターはマツダの魂」とND型開発責任者の山本氏は仰っていました。
これまでの実績を見ればその言葉は本物であり、歴代モデルにおける開発秘話も色々なストーリーがあります。
それらひとつひとつの詳しい説明は省略しますが、私は下記書籍で、ロードスターの歴史と開発関係者の想いを知ったとき、
まずはこの人たちが全力で作り上げたロードスターを楽しみたい、と思いました。
マツダロードスターの30年(三浦正人 著)
これからロードスターを購入される方々についても、ぜひこのクルマに込められた想いを感じ取る瞬間が訪れればいいなと思っています。
中古車では足回りのチューニング車両が目につきますが、10万キロ程度までであれば、純正の足でも充分楽しめますし、過走行車であれば、金額が安い分、純正パーツで足回りのリフレッシュをして乗り回すのもいいのではないでしょうか?
もちろん、サーキット走行を検討している方や、クルマ弄りを楽しみたい方は別ですよ。
人それぞれの楽しみ方があり、純正だから偉いとか、社外品を入れているから偉いとか、そんなことはどうでもいいのです。
ロードスターで人生を楽しむことが出来れば、それが大正解なのですから。
そのうえで、中古車を購入する際の私の経験上のアドバイスは以下の通りです。
・ワンオーナー車両が狙い目
ロードスターに関しては大切に扱われている車両が多いと感じます。外装や内装の劣化も抑えられている車両が多く、メンテナンスも充分されている印象です。
・正規ディーラー取扱車両は気を付けて
比較的年式の新しい車両が多いはずの正規ディーラー取扱車両ですが、試乗車あがりの車両は痛んでいることがあります。
試乗車だからということで、お客さんも気にせず傷をつけるし乱暴な運転をする傾向があります。またディーラーでの保管もオーナー車両に比べて大切にされるとは考えにくいです。
(趣味で楽しむ人と仕事で扱う人との差がでやすい)
・ATの中古車を狙うのであれば、NC型の6速ATorND型が狙い目
NB型だと4速ATとなり、さすがに今の時代4速では・・・
NC型は5速以上でないとロックアップしませんが、街中で気になるならマニュアルモードで対応可能でしょう。
・マツダの塗装被膜は薄いので、色褪せ対策は必ずやりましょう!
MT車を新車で購入した際に、コーティングをお願いしたショップの方に言われた言葉ですが、実際の被膜の厚さを測ってみると、マツダはどの色も他メーカーと比較して薄いとのことです。
(トヨタやレクサスはしっかりしているとのこと。さすがは世界のトヨタですね。)
紫外線の波長にも種類があるため、いずれの波長も防ぐことが出来るコーティングを検討しましょう。
参考に、私が行ったコーティングはこちらになります。
リボルト・プロ
紫外線はその波長の大きさにより3種類に分けられます。
・UVA(波長320–400nm):地上に届く全紫外線の約95%を占めます。波長が長いため物質の奥まで届きます。それ自体のエネルギーは弱いのですが、時間をかけて物質の内側の劣化を引き起こしていきます。
・UVB(波長290–320nm):地上に届く全紫外線の約5%を占めます。波長が短いため物質の表面近くに影響を与えます。エネルギーはUVAよりも強く深刻なダメージを与えます。
・UVC(波長200–290nm):エネルギーは一番強く、破壊性が最も大きいです。しかし地球上空のオゾン層を突き抜ける事は出来ないため、通常は地上には到達しません。今回ニューリリースのリボルトプロ(ベースコート)はUVA紫外線を軽減し、すでにリリースしているトップコートはUVAとUVBの両紫外線を軽減する効果があります。これでリボルトプロはベース&トップの両方が紫外線を軽減させることで、塗装色あせへの劣化を少しでも遅らせることが可能になっています。
引用元: リボルトホームページより
まとめ
・現行ND型に関していえば、ATだからと言って楽しさがスポイルされることは少ないです。ATでもロードスターの楽しさを味わえます。
・新車でも中古車でも、チューニングを楽しむのは、純正を楽しんでからでも遅くはないです。開発者の想いを感じ取って走ってみるのはいかがでしょうか?
・新車(現行ND型)の良さは安全性能、快適性能、基本性能の高さ。これらが外せない方は新車を買って日本経済に貢献しましょう。
・中古車に関しては、オーナー経歴等確認し、ワンオーナー車両を狙っていくのがオススメです。試乗車だった車両は、年式が新しくても現物確認をしっかりしたほうが賢明です。
・中古車でAT車を狙うのであればNC型もしくはND型の6速ATにしましょう。
素敵なロードスター生活が待っていますよ!